英語学習法

リーディング

「音読」が英語学習にもたらしてくれる3つの効果とは?

 「音読」が英語学習に良い効果をもたらすことは、多くの人が耳にしたことがあるのではないでしょうか。
しかし、具体的にどのような点において効果的であるかについては不明確になっているケースもあるようです。
ここでは「音読」が英語学習に与える主な3つの効果について整理してみました。


「音読」することで速読力が向上します。
「音読」することによって、「速読力」が大幅に伸びます。
誤解のないように繰り返しますが、「音読」することによって、「黙読」するスピードが向上するのです。

日本人が英語を速く読めない原因は「返り読み」をしてしまうことにあります。つまり、英文を語順の通りに理解せず、後ろから理解してしまうからです。

例えば、Please don’t forget to drop by my office by nine.という英文を解釈する場合、
「9時までに私の事務所に寄ることを忘れないでね」というような解釈が「返り読み」です。

①Please don’t forget to ②drop by my office ③by nineという英語を

「③9時までに ②私の事務所に寄ることを ①忘れないでね」というように「返って」しまう分、
読むスピードは遅くなってしまいます。
左から右に書かれている英文を、右から左に解釈するために時間がかかってしまうのです。
①Please don’t forget to ②drop by my office ③by nineという英語を
「①忘れないでね ②私の事務所に寄ることを ③9時までに」と語順通りに解釈することが速読力アップには欠かせません。

このように語順通りに解釈する読み方をマスターするには「音読」が最高の学習法です。
「音読」することにより、「返る」ことができなくなるからです。
「音読」することで語順通りに解釈する習慣を身につけることが速読力アップには欠かせません。

「音読」することで速聴力が向上します。
「速聴力」とは文字通り「速く聴く力」ですが、もう少し付け加えると「耳にした英語を頭の中で速く理解する力」のことです。

「音読」することにより、一語一語の理解がチャンク(数語のカタマリ)単位で行われ、速聴力が向上します。


例えば、Thank you for your kindness. という英語を耳にした場合、多くの人は「親切にありがとう」というように、(一語一語に分けて解釈するのではなく、)5語をひとかたまりにして解釈するのではないでしょうか

つまり、Thank(感謝します) you(あなたに) for(ついて) your(あなたの) kindness(親切に)と一語ずつ区切って解釈はしていません。Thank you for your kindnessという一つのカタマリとして解釈しています。
この解釈はThank you for your kindnessという英語を何度も口にしたり、耳にしたりして、チャンクとして何度も触れることにより習得されたのです。

このように、チャンク単位で理解することによって、Thank you for your kindnessの場合であれば「英語→日本語」と5回行われていた変換が、チャンクとして1回の変換で済むことになり、速聴力がアップするのです。

「音読」することで語彙力が向上します。
英語力を高める上で語彙の増強は欠かせません。「音読」することによって飛躍的な語彙力の向上が見込まれます。

音読することにより「語彙力」が向上する理由は、ピアノを弾けるようになったり、自転車に乗れるようになったりする理由と同じです。
体を動かして(声を出して)学習していることは習得が早く、また、忘却されにくい特質があります。

例えば、小さい頃に覚えた早口言葉やお遊戯会のダンスなどを、10年以上たった現在でも覚えている社会人の方も多いのではないでしょうか。
この学習理論からも、英語を目だけで読むよりも、声に出して読む音読は飛躍的に語彙力を向上させてくれます。

単語を暗記することは必要・・・?

「せっかく覚えてもすぐ忘れてしまう」「スペルまで覚えることは必要?」「そもそも暗記は嫌い・・・」。
「英単語」学習はたいていの学習者に避けられがちですですが・・・。

「わからない単語の意味は文脈から想像」は最終手段
リーディング問題の試験中や実際のコミュニケーションなどにおいて、わからない単語に出会った時は「文脈から想像」することはよくあります

私たちは日常生活においてこれを無意識に行っています。例えば、スマートフォンで話していて、相手の言うことが(ノイズや電波状況で)よく聞き取れない場合「文脈から想像」します。
新聞やニュース番組で「日本の合計特殊出生率は・・・」と聞いたとき、この「合計特殊出生率」をズバリ答えることはできませんが、「より精度の高い出生率のことだな・・・」と「文脈から想像」しています。

この日本語で行っている「文脈から想像」する技術は、もちろん英語においても用いるべきです。
しかし、英語学習、すなわち、英語力の向上を目指す上では用いるべきではありません。「わからない単語」は「文脈から想像」するのではなく、一つ一つ覚えて「わかる単語」にしていくことが大切です。

なぜ、フランス人は英語の上達が速く、日本人は英語の上達が遅いのか?
フランスの公用語はフランス語であり、英語は学校で教えられる「教科」にすぎません。そして、フランスの英語学習では「英単語」学習にはそれほど重きが置かれていません。しかし、フランス人の多くは日本人よりも英語をうまく使えます。
大雑把に例えるなら、フランス人の多くの大人は「英検準一級レベル」の英語力は持っています。フランス人の高い英語力はどのようにしてもたらされているのでしょうか?

それは単に、英語とフランス語は多くの共通点を持つからにすぎません
この件についてはいろいろな主張がありますが、基本的な部分まで掘り下げていくと、アルファベットが使用されている時点で、英語学習をする上では日本人よりもフランス人の方が圧倒的に有利です。

例えば、英語で「hospital」が分かれば、フランス語「Hôpital」が何を表すかは簡単に「想像」できます。日本人が中国語を読む場合に似ています。中国語を知らない日本人でも「工期间禁止通行了」という文章が幹線道路の入り口に書かれていれば「工事のため通行止め」というニュアンスはわかります。

「英単語」学習において、フランス語と英語は共通点が多いので、フランス人は大いに「想像」頼ればいいのです。
共通点を持たない日本人は「想像」に頼るのでなく、一つ一つ覚えていくしかありません。

「TOEIC公式問題集」を用いた学習法

私がTOEICについての学習法についてお話させていただくときには、必ずと言っていいほど「TOEIC公式問題集(以下、公式問題集)」の話をあげさせていただきます。同時に、TOEICで高いスコアを出されている方の多くも、必ずと言っていいほど、公式問題集を使用されているようです。
ここでは「公式問題集」が多くの方から高く評価されている理由について、そして、その効果的な活用法についてお話しさせていただきます

 そもそも「公式問題集」とは?
TOEICでは試験後に問題冊子を持ち帰ることができません。また、出題された問題の漏洩等も固く禁じられています。もちろん、英検などのように「過去問」も存在しません。これらのことから、実際のTOEICテストを再現することは非常に難しくなっています。

「公式問題集」は、TOEICテスト開発機関であるETSEducational Testing Service)が、実際のテストと同じプロセスで作成した問題が収録されている唯一の問題集なのです。このため、設問の設定方法や使用されている英文の質が、TOEIC本試験でのものと極めて近くなっているのです。リスニング音声も実際のTOEICテストのナレーターの音声が使用されています。現在(20201月)までに、リスニング編・リーディング編を含む8種類の公式問題集が発売されています。
(http://www.iibc-global.org/toeic/support/prep.html)。価格は高めですが、どれも高いクオリティーが保たれています。

「公式問題集」の効果的な活用法
公式問題集には様々な活用法があります。ここでは、特にTOEIC学習英語学習をを始めたばかりの方にお勧めのの3つの学習法を紹介します。

 ①「リスニングパートを音読する」
意外に思われるかもしれませんが、「リーディングパート」ではなく「リスニングパート」を音読するのです。理由は次の通りです。リーディングパートの英文は非常に難易度が高いため、音読する題材としては適切ではありません。(音読は、声に出している英語の意味が、自分で理解できなければ効果は薄くなります)。「リーディングパート」でも良質な英文が使用されていますが、難易度という観点から「リスニングパート」の英文のほうが音読には向いているのです。

 ②パート5(または、パート6)の短めの英文を精読する
TOEICの英文は非常に良質でauthentic(オーセンティック:実用度が高いもの)だと言えます。しかし、パート7などの長い英文をしっかり理解して精読していくことは英語上級者の方でもなかなか大変です。一方、パート5などの短文であれば、別冊解答に載っている日本語訳を用いて精読することは可能だと思います。このような地道な精読こそがリーディング力を上げるための最も効果的な方法なのです。

③公式問題集を用いて語彙力をアップさせる
②で紹介した学習法と関連していますが、公式問題集の別冊解答には全ての英文の日本語訳だけではなく、非常に丁寧な単語や熟語の意味が掲載されています。前述したようにTOEICで用いられている英語は非常に信頼のおける、頻出度が高いものなので、本文中に自分の知らない単語・熟語があれば、一つずつ覚えていきましょう。このような地道な作業が語彙力をアップさせる唯一の方法だと言えます。

「公式問題集」でスコアアップを
ここまで紹介してきましたように、「公式問題集」を「問題集」としてではなく、「学習書」や「単語集」のように使用することが大切です。こうすることで、英語力の向上やTOEICのスコアアップにもつながるはずです。ぜひ、実践してみてください。

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「速読力」をつけるには「多読」・・・?

TOEICを学習している人なら、リーディングパートを読んでいるときに、「速く読めるようになりたい」と誰もが感じたことはあると思います。

「速読力」をつけるには「多読」が有効な学習法であることは間違いありません。また、「多読」することは、速読力だけではなく、一般的な読解力においても良い影響を与えることと思います。

しかし、多くの学習者たちの問題は「多読するための時間」ではないでしょうか。とくに、学習時間の捻出に苦労されている方などは、コンスタントに多読する時間が取れないと思います。

一概には言えませんが、「多読」することでリーディング力の向上を感じるには、毎日60分程度の集中した読書を3か月程度する必要があると思います。このような時間をなかなか確保することのできない方は、「多読」以外の方法を探す必要があります。

 

「速く」読めるようになるには「ゆっくり」読むこと
馴染みのない内容の方もいるかもしれませんが、「速く」読む力をつけるためには「ゆっくり」読むことが大切です。言い換えれば、「速読力アップ」には「速読」するのではなく「精読」することが大切なのです。ゆっくり丁寧に読んでいくことが「速読力アップ」の唯一の方法だと言えます。

具体例を紹介します。次のような一文(TOEIC公式問題集のビジネスメールからの抜粋です)をどのようにして「精読」するかについてです。

Please note that there are a few requirements that must be met before we can release these funds to you.
 (a few「いくつかの」、requirement「要件」、release「譲渡する」、fund「資金」)

日本語訳:「あなたにこの資金をお渡しする前に、満たしていただかなければならない要件がいくつかあるのでご注意ください」

この文章を「精読」する際に頭の中で行われていることです。
① 「Please +動詞の原形」は「~してください」という依頼の文章である
② noteは他動詞なのでthatより後ろは名詞節としてnoteの目的語となる
③ there are~は「~がある」。a few requirementsは「いくつかの要件」
④ that must be metのthatは関係代名詞で先行詞はa few requirements
⑤ that must be metのbe met はbe+過去分詞で受動態。mustが助動詞なのでbeとなっている
⑥ releaseは「(権利、財産など)を譲渡する」。giveなどと同じように、「release(give) 物 to 人」となりやすい。

などということを一つ一つ確認していく読み方が「精読」です。単語だけをつなげていっても意味がとれそうですが、英文が長く、複雑になっていくにしたがい、結果的に「精読」するほうが早く読めるようになっていきます。

これら「精読」の繰り返しが「速読」につながっていくのです。

運営者:西田 大

西田 写真

西田 大(にしだ まさる)

TOEIC講師、
英会話スクール講師、
会議通訳者、ガイド通訳者

TOEIC990点、英検1級、全国通訳案内士、IIBC AWARD OF EXCELLENCE、日本英語検定協会賞など。

元公立高校英語教諭。
現在は、企業、大学、英会話スクールなどでTOEICを中心とした講義を行う。
また、通訳としても、国際会議や大臣クラスのアテンド実績多数あり。

著書に『「音読」で攻略TOEICL&Rテストでる文80』、『TOEICテストに必要な文法・単語・熟語が同時に身につく本』、『英語力はメンタルで決まる』など。