英語の学習について

英語学習法

「英語学習書」の選び方①

英語学習を効率的に行うためには、正しい学習書選びは欠かせません。
中高生なら「教科書」という最高の学習書を学校から支給されるわけですが、社会人の方は自分で学習書を選ばなければなりません。また、書店の英語学習書コーナーには多種多様の学習書が並べられ、特に英語学習を始められたばかりの方には、どのような本を選んでいいかわからなくなってしまうのではないでしょうか。

書籍のネーミングに迷わされない
最近の英語学習ブームはかつてない盛り上がりを見せています。当然のことながら、出版業界もこの流れを見逃すことはありません。書店の英語学習書コーナーには次から次へと新刊本が並べられています。実際に書店に足を運び、自分に合った一冊を選びたいところですが、あまりにも多くの書籍がありすぎて、どれから手にしていいのかわからない方も多いのではないでしょうか
英語学習者としてまず避けたいことは、「タイトル」を基準にして学習書を選んでしまうことです。英語学習書に限らず、商品のネーミングは売り上げに大きくかかわっています。出版社のほうでも、そのネーミング作成にはかなりの時間と労力を注いでいるはずです。「わずか○○するだけで△△できるように・・・」といった魅力的なタイトルだけをみて判断するのは避けるべきです

英語学習書は「タイトル」でなく「著者」で決める
学習書選びに迷った時に私が試してみる方法があります。
「著者」を基準にして選ぶ方法です。例えば、自分の使っている文法書の解説などがとても分かりやすいと感じたとします。つぎに単語集を購入しようと考えた時には、その文法書の「著者」が作った単語集を使ってみるということです。
著者が同じであれば、文法書であっても単語集であっても、コンセプトや解説法に大きなブレはありません。必然的に自分に合った一冊になる可能性が高くなるわけです。

「英語学習書」の選び方②

「英語学習書の選び方①」では、学習書を選ぶ際には「タイトル」よりも「著者」を参考にするという内容とその理由でした。ここでは、他のいくつかの留意点を紹介します。

買いすぎない・持ちすぎない
書店の英語学習書コーナーには毎週のように新刊本が並べられます。出版社の多彩な広告戦略や魅力的なキャッチフレーズに誘われ、ついつい新しい学習書に手を出してしまうかもしれません。しかし、とりわけ英語学習においては、多くの学習書に取り組むよりも、一つの学習書にしっかり取り組むほうが効果的です
英語学習に限らず、どのような学習においても、学習の基本は「わからないこと」を「わかること」に変えていくことです。学習開始時に「わかること」が3割である状態を5割→8割→10割と増やしていくのです。

一つの問題集に取り組むほうが良い理由を、英文法学習を例に説明します。
英語学習者なら多くの方が、文法問題集に取り組んだことがあるはずです。その際、多くの人が「わからない文法」と「わかる文法」を分けて、「わからない文法」を繰り返し学習します。もちろん、こちらの方が効率的です。文法問題集の3割わかる状態で、「わかる文法」だけを繰り返し学習しても、「わかる文法」はずっと3割のままです。

一方、「わからない文法」を集中的に学習することにより「わかる文法」が3割→5割→8割となっていきます。この時点で、2割になった「わからない文法」こそが「自分に必要な部分(文法)」なのです。

ここで問題集を変えてしまう方もいるようですが、これは、「自分に必要な文法」のみが学習できる状態を無駄にしてしまうことになります。この残りの2割は、次の問題集に乗り換えても、また、その後もずっと学習されない状態が続く可能性が高いです。

「わかること」→「わかること」の学習を極力避け、「わからないこと」→「わかること」の学習を意識的に増やすべきです。このためのベストな方法が「一つの問題集を繰り返す」ことです。

学習書のレベルは控えめに
英語学習の目標やレベルは、効果的な英語学習を実現するうえでとても大切なことです。とくに「レベルの高すぎる学習書」には注意が必要です。

レベルの高すぎる学習書は、自分に合っていないレベルの高すぎる学習へとつながる傾向があります。

例えば、TOEICの対策本についてです。
TOEICの問題集は得点層別に分けられているものが多くあります。これは良いことだと思います。しかし、400点の方が「めざせ700点・・・」のようなものを選んでしまっているケースもあるようです。また、TOEIC990点(満点)はTOEIC全受験者の1%以下しかいないのに、「990点対策・・・」があれほど多く書店に並んでいるのもこの「レベルの高すぎる学習書」を選ぶ傾向を表しているようです。

TOEIC400点の人はまず500点を目指し、次に600点を目指すという自分のレベルに合った教材・学習法が大切です。

モチベーション維持のための「資格試験」

私が担当させていただいている生徒さんの中にも、英語学習を続ける「モチベーション」の維持に苦労されている方は大勢います。

ここで忘れてならないのは、「モチベーション」が思うように上がらない時期はどんな人にも必ずあるということです。ましてや、日常的に多忙な社会人が、英語学習を続けることを困難に感じるのは自然なことでしょう。

資格試験を利用してみる

私は、自分の経験からも、社会人が英語学習の「モチベーション」を保つには、「資格試験」の受験が最も効果的だと思います。人は誰もが「テスト前」には必死になって勉強に取り組みます。

多くの日本人が学生時代に一番勉強するのは「高校3年生の入試前」のはずです。この「テスト前」は必死になって勉強する(学習モチベーションが上がる)という仕組みを利用することで、英語学習のモチベーション維持がうまくいくケースはかなり多いと思います。一度試されてみてはいかがでしょうか?

資格試験には「TOEICがベスト」

モチベーション維持のための資格試験には「TOEICがベスト」だと思います。その理由は年間の試験実施回数が多いからです。みなさんも学生時代のことを思い出せば、「テスト三週間前」よりも、「テスト一週間前」、さらには「テスト前日」の方が「モチベーション」が上がったはずです。

つまり、多くの人は「テスト前」になればなるほど「モチベーション」が上がるのです。だからこそ、できる限り多く「資格試験」を受験して、できるだけ多くの「テスト一週間前」の状況を作るのです。そのためには年間10回程度の公開テストが行われているTOEICを利用するのがベストだと思います。


「目標を明確にする」

多くの英語学習者は「目標」を持っています。しかし、その「目標」が漠然としていてはいけません
例えば、「英語が話せるように・・・」「英語関係の仕事に・・・」「いつか英検〇級に・・・」という目標よりも、「次のTOEICで「リスニング325点、リーディング300点のトータル625点!」と目標を明確にしておくことが大切です。

ダイエットするときにも、ただなんとなく「痩せたいなぁ・・・」ではなく、「〇月〇日までにマイナス△kg」と明確に「目標」を設定する方が成功するはずです。体重計に乗らない、また、期限のないダイエットは失敗の可能性が高まります。

資格試験は「目標を明確に」してくれます。山登りをしていて疲れてきた時に、「あと2km」などの表示を見て「やる気」を取り戻した経験は誰もがあるでしょう。パソコンに何かをインストールしている時の「あと〇%」の表示を見ることにより我慢することできます。「目標」が数字になってはっきりしているから「やる気」になれるのです。

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単語を暗記することは必要・・・?

「せっかく覚えてもすぐ忘れてしまう」「スペルまで覚えることは必要?」「そもそも暗記は嫌い・・・」。
「英単語」学習はたいていの学習者に避けられがちですですが・・・。

「わからない単語の意味は文脈から想像」は最終手段
リーディング問題の試験中や実際のコミュニケーションなどにおいて、わからない単語に出会った時は「文脈から想像」することはよくあります

私たちは日常生活においてこれを無意識に行っています。例えば、スマートフォンで話していて、相手の言うことが(ノイズや電波状況で)よく聞き取れない場合「文脈から想像」します。
新聞やニュース番組で「日本の合計特殊出生率は・・・」と聞いたとき、この「合計特殊出生率」をズバリ答えることはできませんが、「より精度の高い出生率のことだな・・・」と「文脈から想像」しています。

この日本語で行っている「文脈から想像」する技術は、もちろん英語においても用いるべきです。
しかし、英語学習、すなわち、英語力の向上を目指す上では用いるべきではありません。「わからない単語」は「文脈から想像」するのではなく、一つ一つ覚えて「わかる単語」にしていくことが大切です。

なぜ、フランス人は英語の上達が速く、日本人は英語の上達が遅いのか?
フランスの公用語はフランス語であり、英語は学校で教えられる「教科」にすぎません。そして、フランスの英語学習では「英単語」学習にはそれほど重きが置かれていません。しかし、フランス人の多くは日本人よりも英語をうまく使えます。
大雑把に例えるなら、フランス人の多くの大人は「英検準一級レベル」の英語力は持っています。フランス人の高い英語力はどのようにしてもたらされているのでしょうか?

それは単に、英語とフランス語は多くの共通点を持つからにすぎません
この件についてはいろいろな主張がありますが、基本的な部分まで掘り下げていくと、アルファベットが使用されている時点で、英語学習をする上では日本人よりもフランス人の方が圧倒的に有利です。

例えば、英語で「hospital」が分かれば、フランス語「Hôpital」が何を表すかは簡単に「想像」できます。日本人が中国語を読む場合に似ています。中国語を知らない日本人でも「工期间禁止通行了」という文章が幹線道路の入り口に書かれていれば「工事のため通行止め」というニュアンスはわかります。

「英単語」学習において、フランス語と英語は共通点が多いので、フランス人は大いに「想像」頼ればいいのです。
共通点を持たない日本人は「想像」に頼るのでなく、一つ一つ覚えていくしかありません。

「TOEICを勉強しても英語が話せない?」について

「TOEICを勉強しても英語が話せない」などといったように、TOEICを学習しているだけでは、英語を話す能力は伸びないような声もあります。今回はこの件について説明いたします。
                                                          TOEICは対策だけで高得点が可能?
TOEICを用いて英語学習をしている人なら、「TOEICは対策が大切」「対策だけで高得点が可能」というニュアンスの言葉を一度は耳にしたことがあると思います。実際にも大型書店などでは必ずと言っていいほどTOEICコーナーが設けられ、何種類もの「対策本」が並べられています。しかし、本当にTOEICは英語力がそれほどない人でも、対策だけで高得点は可能なのでしょうか?

私の考え方は、「対策が大切」だと言うことに間違いはありませんが、「対策だけで高得点」は不可能だという印象です。つまり、TOEICで高得点を取得するには「英語力」と「対策」の二つが大切であり、TOEIC高得点者には点数相応のしっかりとした英語力があると考えていいでしょう。

TOEIC高得点者でも英語が話せない理由は?
先述のとおり、TOEICで高得点を取得するには、「対策」だけではなく、しっかりとした「英語力」を持っていることが必要です。しかし、実際にTOEICで800点台、900点台などのスコアを取得している高得点者の方でも、「話す」ことについて苦手であったり、苦手意思を持っていたりする方がいることは事実です。

これについては「シチュエーション」が大きく関係しているのです。つまり、誰にとっても、英語を話すのに「得意なシチュエーション」と「苦手なシチュエーション」が存在するのです。

例えば、私自身もTOEICで高得点(990点)を取得していますが、「シチュエーション」によっては自分の話す英語を上手く理解してもらえないケースはよくあります。

例えば、私は学生に対して文法的な解説をすることがよくあります。また、企業研修やセミナーなど、人前で英語を使用することも多くあるため、できる限り正しい文法や語法で話そうと心がけています。これらの文法や語法の中には、TOEICの学習で習得したものも多数あります。この結果、私の英語は、TOEICで使用されている英語のように正確であるけれど、日常的なカジュアル英語とはかけ離れてしまっています。そのため、英語でカジュアルな会話を行うときには、馴染みのない表現に多く触れなければならず、苦労してしまうことも多くあるのです。

これは私だけの話ではなく、どんな人にも英語を話す上での、「得意なシチュエーション」と「苦手なシチュエーション」があると考えてよいでしょう。

TOEIC学習は英語を話す上での基礎作りにピッタリ

結論としては、「英語を話せる」に近づくためにはTOEICの学習は非常に有効であると思います。間違いなく、TOEICを基盤にした学習は効率的な英語力の向上につながります。

そして、その英語力を生かして様々な「シチュエーション」を体験することが、「英語を話せる」の実現の最短ルートなのです。

「速読力」をつけるには「多読」・・・?

TOEICを学習している人なら、リーディングパートを読んでいるときに、「速く読めるようになりたい」と誰もが感じたことはあると思います。

「速読力」をつけるには「多読」が有効な学習法であることは間違いありません。また、「多読」することは、速読力だけではなく、一般的な読解力においても良い影響を与えることと思います。

しかし、多くの学習者たちの問題は「多読するための時間」ではないでしょうか。とくに、学習時間の捻出に苦労されている方などは、コンスタントに多読する時間が取れないと思います。

一概には言えませんが、「多読」することでリーディング力の向上を感じるには、毎日60分程度の集中した読書を3か月程度する必要があると思います。このような時間をなかなか確保することのできない方は、「多読」以外の方法を探す必要があります。

 

「速く」読めるようになるには「ゆっくり」読むこと
馴染みのない内容の方もいるかもしれませんが、「速く」読む力をつけるためには「ゆっくり」読むことが大切です。言い換えれば、「速読力アップ」には「速読」するのではなく「精読」することが大切なのです。ゆっくり丁寧に読んでいくことが「速読力アップ」の唯一の方法だと言えます。

具体例を紹介します。次のような一文(TOEIC公式問題集のビジネスメールからの抜粋です)をどのようにして「精読」するかについてです。

Please note that there are a few requirements that must be met before we can release these funds to you.
 (a few「いくつかの」、requirement「要件」、release「譲渡する」、fund「資金」)

日本語訳:「あなたにこの資金をお渡しする前に、満たしていただかなければならない要件がいくつかあるのでご注意ください」

この文章を「精読」する際に頭の中で行われていることです。
① 「Please +動詞の原形」は「~してください」という依頼の文章である
② noteは他動詞なのでthatより後ろは名詞節としてnoteの目的語となる
③ there are~は「~がある」。a few requirementsは「いくつかの要件」
④ that must be metのthatは関係代名詞で先行詞はa few requirements
⑤ that must be metのbe met はbe+過去分詞で受動態。mustが助動詞なのでbeとなっている
⑥ releaseは「(権利、財産など)を譲渡する」。giveなどと同じように、「release(give) 物 to 人」となりやすい。

などということを一つ一つ確認していく読み方が「精読」です。単語だけをつなげていっても意味がとれそうですが、英文が長く、複雑になっていくにしたがい、結果的に「精読」するほうが早く読めるようになっていきます。

これら「精読」の繰り返しが「速読」につながっていくのです。

運営者:西田 大

西田 写真

西田 大(にしだ まさる)

TOEIC講師、
英会話スクール講師、
会議通訳者、ガイド通訳者

TOEIC990点、英検1級、全国通訳案内士、IIBC AWARD OF EXCELLENCE、日本英語検定協会賞など。

元公立高校英語教諭。
現在は、企業、大学、英会話スクールなどでTOEICを中心とした講義を行う。
また、通訳としても、国際会議や大臣クラスのアテンド実績多数あり。

著書に『「音読」で攻略TOEICL&Rテストでる文80』、『TOEICテストに必要な文法・単語・熟語が同時に身につく本』、『英語力はメンタルで決まる』など。